福島武司法律事務所 業務日誌
弁護士福島武司の業務日誌です(不定期更新)
人権擁護委員の研修会
今日は、富山県人権擁護委員連合会の研修会に招かれ、講師として話をしてきました。

法務省のHPより「人権擁護委員をご存じですか」


夕方以降は懇親会になると聞いていましたので、割と気軽な会合なのかなと、安易に考えて講師を引き受けてしまったのですが、実際は皆さん非常に勉強熱心で、活発に意見を出されるので、ボランティアなのに凄いなと、感服しました。

日頃の相談業務(人権相談など)の中で、一般市民の日常的な揉め事のアドバイスを求められて、皆さんご苦労されているようです。

相談者の役に立つような正しい回答をするため、限られた時間の中で少しでも多くの情報を取り入れようと、熱心に質問されるので、こちらも、講師として、とてもやり甲斐を感じました。


最初に全員を前に話をした際、
「相談業務では、どうしても相談者は『負け組』の人、回答者は『勝ち組』の人、という社会的ポジションになるので、そのあたり自戒が必要ですよね」
みたいなことをしゃべってしまったのですが、参加者の皆さんの真摯な態度からすると、正に釈迦に説法だったと、終了後に反省した次第です。
<当日配布したレジュメ>

振り込め詐欺について

1 振り込め詐欺とは
 おれおれ詐欺
 架空請求詐欺
 融資保証金詐欺

2 現状
 存在はかなり知られてきたが、相変わらず巨額の被害が続く。
 今年8月までに154億円(実害)
 犯行態様はより高度化。

3 最近の立法による対策
 口座売買等の禁止
 携帯電話の本人確認の厳格化
 しかし、警察は、そもそも未遂犯を立件したがらない
 既遂事件についても、検挙率は極めて低い

4 振り込んでしまった場合の被害回復
 被害届提出→所轄より振込先銀行支店へ凍結要請→凍結(引き出せなくなる)
 しかし、凍結時に残高が残っている可能性は極めて低い(確認電話)
 うまく残っていれば、戻ってくるのか?
 原則として、口座名義人の同意がない限り、預金の組み戻しは不可
 当然ながら、口座名義人は同意しない(連絡不能or架空)
 では、どうするのか

5 私の担当した事件について
 振込後直ぐに被害届提出、預金凍結
 しかし、銀行が口座名義人に郵便を送っても応答なし
 被害者の手元には、ATMから交付された1枚の振込控えのみ
 口座名義は、カタカナで氏名が書いてあるだけ、住所は当然不明
 口座名義人を訴えて判決を取り、口座を差し押さえる以外に、金は返ってこない
 弁護士が、名義人の住所氏名を銀行や警察に問い合わせても、回答拒否(調査不能)
 (そもそも、振り込んだ金が引き出されか否かすら、調査手段がない)
 裁判所が、裁判手続の中で調査嘱託をすれば、銀行は回答する
 そこで、被告の表示を「住所不詳、氏名カタカナ」として訴訟を提起
     併せて調査嘱託の申し立て。
 富山地裁は、「被告の住所・氏名が特定されていない」として門前払い(訴状却下)
 訴状却下命令に対する即時抗告
 名古屋高裁金沢支部は、「調査嘱託をしないまま訴状却下することは許されない」として訴状却下命令を取り消し
 改めて、富山地裁が訴状を受理し、調査嘱託実施。銀行が住所氏名を回答。訴状補正。
 しかし、訴状が送達できず(被告が受け取らない)、現地調査。結果、本人不在。
 公示送達(住所不明の被告に対する特別の手続)により訴状送達、判決
 判決「本件証拠によれば,被告が欺岡行為に直接加担したとまでは認められないが,少なくとも,被告は,詐欺等の犯罪行為に使用されることを認識した上で,自らの口座を流通させたことは推認でき,その口座が本件不法行為の実行に不可欠であったことを考慮すれば,被告に不法行為責任を認めることができる。」
 判決に基づき口座を差し押え、ようやく振り込んだ金が戻る。
 しかし、手続費用(実費)と弁護士費用は、被害者が負担。

6 今後、検察官が犯罪収益を没収し、被害者に還付する手続が創設される見込み
  しかし、話は簡単ではない
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こちらの記事を見て、今とても興味があります。調査嘱託とは、裁判所が銀行であるとか、関係団体に問い合わせをしてくれることのようです。ワンクリの時に使えるということであれ
2006/03/23(木) 17:05:14 | ネット詐欺撲滅!blog