福島武司法律事務所 業務日誌
弁護士福島武司の業務日誌です(不定期更新)
第三債務者(銀行)の陳述書
4月14日に言い渡された判決に基づき、預金口座の差押え(預金債権の差押命令及び転付命令)を横浜地裁相模原支部に申し立てていたところ、債権差押命令及び転付命令が発令され、三井住友銀行永山支店に送達されました。
同支店は、第三債務者に対する陳述催告に応えて、4月27日付けの陳述書を送付してきました。要旨は、以下のとおりです。

1 債権差押命令正本の差押債権目録記載の債務が「ある。」
2(1)債務の種類「普通預金」
 (2)債務の額「1,001,460円」
3 差し押さえられた債務を債権者に、「支払う。」

これにより、ようやく、振込先の口座に預金が残っていることが確認されました。

やれやれです。
GW中の予定
5月2日(月)は臨時休業します。
6日(金)は平常どおりです。
先物研全国大会
15・16日に長野県松本市で行われた「第53回先物取引被害全国研究会」に参加してきました。
先物取引被害問題研究会が年2回開催している全国規模の研究会です。
北は釧路から南は沖縄まで、260名以上の弁護士が手弁当で集まり、熱心に研究・討論を行っていました。

ここ富山でも、商品先物取引に引き込まれて、数百、数千万円の損失を被る被害者が、後を絶ちません。
先物取引では、高額な手数料以上にもうけを出すことなどほぼ不可能であり、絶対に手を出してはいけません。
また、まかり間違って手を出してしまった場合(もしくは知人が手を出していることを知った場合)には、直ちに弁護士や消費生活センターに相談し(相談させ)、少しでも傷の浅いうちに手を引く(引かせる)と共に、損害賠償請求を検討して下さい。

本当に先物で儲けが出るのであれば、わざわざ勧誘に来てくれるはずがありません。他人に教えないで、自分で相場を張るだけのことです。
営業マンは、自分達の手数料(=客の損失)を増やすために、今日も誰かを取引に誘い込み続けるのです。
判決
本日午後1時10分、判決が言い渡されました。
 共同配信  KNB

口座名義人の不法行為責任を認めた判示部分については、簡にして要に、核心を突いており、このような法的評価がスタンダードになっていくことを、強く期待します。

今後は、預金債権(問題の口座)の差押手続の準備に移ります。
 【参考】東京地裁民事第21部債権執行事件受付係インフォ

なお、振り込んだお金が未だ口座に残っているか否かは、差押決定の送達を受けた銀行から「第三債務者の陳述書」が返ってきたときに、初めて正式な回答を得ることができます。

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平成17年4月14日判決言渡 同日原本交付 裁判所書記官
平成17年(ワ)第○○号 損害賠償請求事件
口頭弁論終結日 平成17年4月7日
         判       決
富山県○○
    原    告  ○○
    同訴訟代理人  弁護士 福 島 武 司
住居所不明
最後の住所 ○○
    被    告  ○○
        主        文
1 被告は,原告に対し,120万円及びこれに対する平成16年8月2日から支払い済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
3 この判決は,仮に執行することができる。
        事        実
1 請求の趣旨
  主文同旨
2 請求の原因
(1)原告の子供及び法律の専門家を装った氏名不詳者ら及び被告は,共謀の上,平成16年8月2日,原告に対し,原告の子供が交通死亡事故を起こしたと偽り,直ちに保釈金として100万円を送金しないと子供が警察署に留置されると誤信させ,原告をして,同日,指定された被告名義の銀行口座に100万円を送金させ,これを騙し取った。
(2)原告の損害
ア 騙取された額100万円
イ 慰謝料10万円
  原告は,警察や銀行への度重なる事情説明を強いられ,家族間の関係も悪化することになり,多大の精神的苦痛を被った。
ウ 弁護士費用10万円
(3) よって,原告は,被告に対し,不法行為による損害賠償請求権に基づき,120万円及びこれに対する不法行為の日である平成16年8月2日から支払い済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払いを求める。
3 被告は,公示送達による呼出しを受けたが,本件口頭弁論期日に出席しない。
        理        由
1 甲1及び2号証によれば,請求の原因(1)の事実が認められる。
 なお,本件証拠によれば,被告が欺岡行為に直接加担したとまでは認められないが,少なくとも,被告は,詐欺等の犯罪行為に使用されることを認識した上で,自らの口座を流通させたことは推認でき,その口座が本件不法行為の実行に不可欠であったことを考慮すれば,被告に不法行為責任を認めることができる。
2 原告の損害
  前記認定事実によれば,原告は,100万円を騙し取られたことが認められる。
  慰謝料及び弁護士費用については,各10万円が相当である。
3 以上によれば,原告の本訴請求は理由があるからこれを認容し,主文のとおり判決する。
    富山地方裁判所民事部
         裁 判 官  永 野 圧 彦
弁論終結
私が担当しているおれおれ詐欺被害者の訴訟は、本日、第1回口頭弁論が行われました。
公示送達ですので、被告は当然欠席です。
訴状陳述、書証2通(原告の陳述書、ATMの振込控え)取調べの上、弁論終結となり、判決期日が4月14日に指定されました。

判決で勝訴すれば、預金債権の差押え手続に移ります。
債権者代位訴訟判決文公開
岡口裁判官「ボツネタ」より

3月31日の記事で触れた債権者代位訴訟の判決文
H17. 3.30 東京地方裁判所 平成16年(ワ)第14793号

代位訴訟の要件論
「原告らは電話をかけてきた氏名不詳者らに対し振込金と同額の不当利得返還請求権を有し、その氏名不詳者が振込先として指定した各銀行口座を所有しているものと認められるところ、所在も明らかでない氏名不詳者に対して直接債務名義を取得する方法は現行法制上存在しないし、当該氏名不詳者の財産と認められるものは上記各口座についての預金払戻請求権以外には見当たらないのであるから、原告らとしては、自己の不当利得返還請求権を保全するには当該預金払戻請求権を代位行使するほかなく、保全の必要性は優に認められる。」

不当利得返還請求権の相手方を、口座名義人ではなく、実際に電話をかけてきた氏名不詳者とし、預金口座の所有者も、氏名不詳者である(口座名義人ではなく)と認定した上で、氏名不詳者の財産は預金以外見あたらない、という形で、代位の要件をクリアさせています。

事案の実態を素直に捉えた事実認定だと思いますが、理屈として詰めていくと、いろいろと問題がありそうです。
また、無資力を正面から認定したのか、それとも、転用(もしくはそれに近いもの)に位置付けられるのか、判決文の文理からは明確でないように思われます。
各方面からの判例評釈を待ちたいところです。