福島武司法律事務所 業務日誌
弁護士福島武司の業務日誌です(不定期更新)
債権者代位訴訟
「振り込め詐欺」被害、大手4行に支払い命令 東京地裁
朝日新聞の記事より

おれおれ詐欺の被害者が、振込先の預金口座(凍結済み)のある銀行に対し、債権者代位訴訟を提起して、勝訴したと報道されています。

この手法のメリットは、カタカナ氏名しか分からない口座名義人を相手にせず、直接銀行を訴えるので、被告の特定や所在調査という、訴訟の入り口での難点(正に私の担当している事件で直面した)を回避できることです。
私の担当事件でも、万が一訴状却下命令が確定したら、次にこれをやろうかと検討していました。

しかし、債権者代位訴訟は、代位される債務者の「無資力」(他に見るべき財産を持っていないこと)が要件となります。
そして、被告である銀行は当然応訴してきますから、被害者の側で、口座名義人の「無資力」を立証しなければなりません。

この無資力要件の立証が簡単であれば(例えば、極端な話、犯罪に利用される口座を作るようなやつは、無資力に決まっている、という経験則を適用したり)、非常に有力な被害救済手段となります。

この点、どのような根拠、もしくは手法で無資力要件をクリアさせたのか、今回の判決文の内容が注目されます。
裁判所のHPで素早く公開してほしいものです。

それにしても、提訴から判決まで8か月も経過しており、さらに銀行が控訴する可能性も残っていますから、決して使い勝手のよい救済手段とは言えませんが。

一方、口座名義人を訴えるやり方は、訴訟の入り口での難点はありますが、そこを突破できれば、被告が応訴してくる可能性は実際上殆ど考えられませんので、訴訟の中身は概ね1回の期日で済み、早期に判決が得られます(私の担当事件では、訴状却下→即時抗告となったため、数か月空転しましたが、最初から訴状が受理されていれば、とっくに終わっていました)。
交通事故相談研修会
今日は、午後5時から8時まで、弁護士会にて「日弁連交通事故相談センター相談員等研修会」が行われたので、参加してきました。

講師は在京の弁護士で、交通事故の専門家です。
同じ弁護士とはいいながら、さすが「プロ」は違います。講義内容の厚みと熱みに圧倒されました。
年金の逸失利益性、後遺障害認定と異議申立の実務、神経症状に関する後遺障害認定の問題(PTSDや高次脳機能障害など)といった、交通事故紛争の最前線の議論をご紹介いただき、大変勉強になりました。
また、重大な後遺障害が残る交通事故では、代理人弁護士の腕によって結論が大きく左右される可能性のあることが理解でき、責任重大と感じました。
公示送達採用
調査嘱託に対する回答で判明した銀行口座の登録住所(そこには被告の住民票も存在)について、訴状が送達できなかったため、現地調査を行った結果、被告が居住していないことが判明しました。
(快く無償で調査にご協力下さった同期のI先生、本当にお世話になりました。ありがとうございました。)

そこで、公示送達を申し立てていたところ、本日、裁判所から公示送達を採用する旨の電話連絡を受けました。

民事訴訟法
第110条 次に掲げる場合には、裁判所書記官は、申立てにより、公示送達をすることができる。
1 当事者の住所、居所その他送達をすべき場所が知れない場合

第111条 公示送達は、裁判所書記官が送達すべき書類を保管し、いつでも送達を受けるべき者に交付すべき旨を裁判所の掲示場に掲示してする。

第112条 公示送達は、前条の規定による掲示を始めた日から2週間を経過することによって、その効力を生ずる。
有料相談
今日の午後は、弁護士会館での有料相談を担当しました(予約制、相談料30分5000円)。
本来は3時間の枠で6人の相談を担当しますが、今日の予約は5人だけでした。
相談の分野は、少年事件、遺産分割、離婚2件、多重債務でした。
訴状不送達
おれおれ詐欺被害者の訴訟は、調査嘱託に対する銀行の回答により被告の住所氏名が明確になったため、第1回口頭弁論期日が4月7日に指定され、訴状の送達手続に入りました。

しかし、最初の送達は「不在」で戻り、次に休日送達がなされましたが、やはり「不在」で戻りました。

そこで、次の手続に進むためには、被告の住所地に赴いて、実際にそこに居住しているか否かを確かめる現地調査が必要になります。
しかし、私が交通費と日当をもらって行ったのでは、その実費が被害者の負担となってしまうため、現在他の手段を検討中です。

仮に、被告がそこに住んでいないことが明確になれば、公示送達に進むことになり、逆に、被告がそこに住んでいることが明確になれば、書留郵便に付する送達に進むことになります。
しかし、例えば都会の単身者用賃貸集合住宅では、そもそも外形から誰が住んでいるか容易に判別できず、本人も近隣も殆ど不在であることが多いため、やっかいな問題です。

なお、弁護士には、職務上の正当な必要性があれば住民票を調査する権限があるのですが、調査の結果、被告は住所地に住民票を置いていましたので、少なくとも実在する人物のはずです。