福島武司法律事務所 業務日誌
弁護士福島武司の業務日誌です(不定期更新)
銀行より回答書来る
再スタートとなったおれおれ詐欺被害者の訴訟は、1月25日付けで富山地裁が調査嘱託を採用し、同日書記官が嘱託書を銀行に送付したところ、同月27日、銀行が回答書を発信し、同月29日これが富山地裁に到達しました。
本日、回答書を謄写しましたが、銀行は、口座名義人の住所と氏名(漢字)を明らかにしました。

最初から、弁護士法23条の2に基づく照会に対して回答してくれれば、こういう面倒な話にはならないわけですが、ともかく、これにより、ようやく被告の住所・氏名が明らかになったわけです。
たったこれだけのことのために、昨年10月1日の提訴から丸4か月かかったことになります。

さて、これから、訴状訂正申立書(被告の住所・氏名の訂正)を作成し、明日提出する予定です。
ここからは、全く普通の民事訴訟のルートに乗りますので、第一回口頭弁論期日の指定から訴状の送達へと進みます。
被告が不在で訴状が不送達となれば、公示送達の問題になります。
有料相談
今日の午後は、弁護会館にて有料法律相談を担当しました。

相談者は5人で、相談分野は、融通手形、刑事事件、交通事故、婚費分担と離婚、商標権侵害でした。
再スタート
名古屋高裁金沢支部が訴状却下命令に対する即時抗告を認容した件は、ようやく記録が富山地裁に戻り、再スタートとなりました。

事件番号が新たに付され、担当裁判官も代わり、完全に新件として取り扱われています。

本日、裁判所(新しい担当裁判官)が、調査嘱託を採用しました。
 共同配信記事
裁判所から銀行に対し、口座名義人の住所・氏名を照会する書面が送付されますので、まずは、銀行からの回答を待つことになります。

万が一、銀行が調査嘱託への回答も拒否すれば、いよいよ銀行を提訴するしかありません。
刑務所見学
昨日は、日帰りで、和歌山まで出張しました。
日弁連人権擁護委員会の行事で、和歌山刑務所を見学してきました。

和歌山は女子刑務所です。
私は、女子刑務所を初めて見学しましたが、壁が低く、建物も開放的で、色彩感もあり、部屋に鍵のない舎房も相当数あるなど、一般の刑務所とは別世界という印象でした。

もっとも、保護房だけは、一般の刑務所と同一規格でした。
さらに、革手錠廃止後に導入された新式手錠を使ったことがある(自殺防止のため1回のみ、とはいえ)という話にも、少々驚きました。
マニアックな話題で、殆どついてこれないでしょうが…。(^_^;)

過剰収容問題は、男女に関わらず、深刻なようです。
刑事政策全体のバランスを考えないで厳罰化ばかり叫ぶ昨今の風潮に、一番困っているのは、刑務官でしょう。
少なくとも、刑務所にちゃんと予算を付けるよう、一緒に叫んで下さい。>厳罰化論者の皆様

真冬の接見
富山には拘置所(裁判で刑が決まっていない未決囚を収容する施設)がないため、刑事被告人は刑務所に収容されます。
そこで、刑事裁判の打合せをするため、弁護人は、刑務所に出かけていって、被告人と接見(面会)することになります。

さて、その刑務所の面会室ですが、設備としての暖房はなく、極めて寒い!
一応、小さな電気ストーブが置いてありますが、せいぜい直接照らされる足下が若干暖まるだけで、室温は全然上がりません。
今日のような雪の日に、1時間も面会していると、体全体が冷えてきて、風邪を引きそうになります。

暖房の効いた部屋でしか執務しない検察官や裁判官には、決してご理解いただけない、弁護活動の泥臭い実情です。
管財人等協議会
昨日は、破産管財事件を担当する裁判官・書記官と、破産管財人の供給源である弁護士会とが会合して、破産管財事件に関する協議会が開催されました。
新年から改正破産法が施行されたことで、新法に対応する管財実務をどのように行えばよいか、意見が交換されました。

従前、破産債権の存否について争いがある場合、債権者は破産債権確定訴訟という重たい手続を使う必要があった(ので実際は殆ど争ってこなかった)のに対し、新法では、破産債権査定申立という軽い手続が新設されたため、この点をめぐって、管財人による破産債権の認否の取り扱いを改める必要があるのか、といった問題について、活発な議論がなされました。
求人終了
ハローワークを通じた事務職員1名の求人の件は、本日採用する方を決めましたので、求人取消手続を取りました。

とりあえずお知らせまで。
休日当番弁護士
1月8日、初めての土曜というのに休日の当番弁護士を担当。
出動要請が1件あり、高岡警察署に面会に行きました。

ちなみに、富山県弁護士会の休日当番弁護の体制ですが、休日は弁護士会の事務局もお休みなので、担当弁護士が自分で定期的に留守番電話にアクセスし、メッセージに吹き込まれた出動要請(多くは、勾留質問を終えた裁判所書記官か、被疑者が留置されている警察署の留置担当官から)を聞き、接見に赴きます。
担当時間は、前日の午後5時から当日の午後5時までです(その間に録音されたメッセージについて担当)。

本日は、雪の降りしきる中、大山町福祉センターの法律相談へ。
相談を2件受けました。分野は、土地の賃貸借と相続でした。
即時抗告事件、雑感
訴状却下命令の第一報が共同通信(東京の司法記者クラブ)から流れたときの反応ですが、友人や親戚などの「素人」は、本気で驚いたり怒ったりしていました。しかし、法律知識がある人ほど、容認する傾向が強いようでした(ブログや巨大匿名掲示板などを見て回ると)。
この反応は、全く予想の範囲内であり、そうであるからこそ、問題を広く報道してもらい、法律専門職の内輪のディベートで終わらせず、社会一般の「常識」を問うた意味があったのです。

裁判手続内で粛々と事を進めた場合、裁判官の純理論的な検討の結果、訴状審査における裁判長の裁量権等を根拠に、粛々と抗告棄却されて終わるだろうと思っていました。
そもそも、弁護士が出した訴状が却下されるなど、これ以上なく恥ずかしい話ではありますが、さらに抗告棄却で恥の上乗りをするリスクを取って、報道してもらいました。
そうしなければ確実に「負ける」と思ったからです。

この問題が広く報道されて、高裁の結論に注目が集まる事態になっても、正直、私は悲観的でした。高裁から到着した郵便の封を切るまで、抗告棄却だろうと予想しており、特別抗告状と許可抗告申立書も起案済みでした。
しかし、高裁の決定は、良い意味で私の予想に反し、事案の実状から素直に結論を導いたものでした。

そうであるがゆえに、法理論的には、決着が付いてない部分が多々あるとも言えます。
当事者の特定が訴訟要件である趣旨、特定の有無の判断基準(原則と例外)、訴状審査時と口頭弁論終結時の差異の有無、裁判所の調査義務の有無・範囲など。
さらに、今後、調査嘱託が義務的なものとして行われても、仮に銀行が回答を拒否した場合、どうなるのか。
訴状却下するとすれば、銀行の回答如何で、訴訟要件が左右されることの妥当性、整合性。
訴状却下しないとすれば、どうやって進行させるのか(公示送達?)。
仮にカタカナのまま判決した場合、被告名義の預金の差押が手続的に可能か(蔭山弁護士が取られた東京高裁の執行抗告認容決定の問題)。

などと、いろいろ考えていくと、だんだん知的パズルの迷路に入り込んでいって、理屈のための理屈をこねくり回すようになってしまいます。一体全体、事案の妥当な解決がどこにあるのか、という出発点が見えなくなってくるわけです。
私自身も、抗告理由を起案しながら、考えさせられるところがありました。
「素人に理解可能な議論をしよう」と高裁に呼びかけたのは、自戒も込めた言葉です。
抗告審が訴状却下を取り消し
おれおれ詐欺被害者の訴状却下の件、名古屋高等裁判所金沢支部は、12月28日、富山地裁の訴状却下命令を取り消す決定をしました(1月5日受送達)。
北日本新聞記事

決定文を以下に引用しますので、今後の訴訟等にご活用下さい。

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平成16年(ラ)第99号 訴状却下命令に対する即時抗告事件
(基本事件:富山地方裁判所平成16年(ワ)第315号)
    決  定
 富山県○○
  抗告人(基本事件原告) ○○
  同訴訟代理人 弁護士 福 島 武 司
 住所不詳
  相手方(基本事件被告) ヨシザワジュンイチ
    主  文
 原命令を取り消す。
    理  由
第1 本件抗告の趣旨及び理由
 別紙の「即時抗告の申立書」に記載のとおりである。
第2 当裁判所の判断
1 本件は,抗告人(基本事件原告)が,氏名不詳の者から騙されて「ヨシザワジュンイチ」名義の銀行預金口座に100万円を振込送金して同額の損害を被ったことから,上記預金口座の名義人の「ヨシザワジュンイチ」に対し,不法行為に基づき,上記の100万円,慰謝料10万円,弁護士費用10万円の合計120万円及びこれに対する平成16年8月2日(不法行為の日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた訴訟において,訴状の被告の住所及び氏名の表示として,「住所不詳,ヨシザワジュンイチ」と記載したところ,原審裁判所が,抗告人に対し補正を命じた上,被告の住所及び氏名が特定されていないとして訴状を却下したため,これを不服とする抗告人が本件抗告を申し立てた事案である。
2 記録によれば,抗告人は,訴状において,不法行為に基づく損害賠償請求の相手方である被告の表示につき,被告名を「ヨシザワジュンイチ」と,住所地を「住所不詳(後記する振込先預金口座の登録住所)」とそれぞれ記載した上,その振込先預金口座として,「三井住友銀行永山支店,普通預金,口座番号○○,名義人ヨシザワジュンイチ」と記載していることが認められる。
 そして,銀行預金口座を開設するに際しては,口座開設者の氏名,住所等を記入した申込書の提出を要すること(顕著な事実。しかも,書類等により口座開設者が本人であることの確認などもすべきものとされている。)を踏まえると,抗告人は,上記預金口座を開設した自称「ヨシザワジュンイチ」なる人物を本件の被告として訴訟を提起したことが明らかである。
3 なるほど,訴状の被告名は上記預金口座の名義人である片仮名の名前にすぎず,しかも,住所表示(訴状送達の便宜等のために有益であり,また,被告を特定する上で有用であることから実務上記載されるのが一般である。)は「不詳」とされている。しかし,抗告人は,本件訴訟提起前に,弁護士照会等により,所轄の滑川警察署長及び上記預金口座のある三井住友銀行永山支店宛に「ヨシザワジュンイチ」の住所及び氏名(漢字)を問い合わせるなどの手段を尽くしたものの,協力が得られず,やむなく上記の記載の訴状による訴えを提起したことが認められる。そして,抗告人は,本件訴訟提起と同時に上記銀行に対する調査嘱託を申し立てているところ,これらの方法により,「ヨシザワジュンイチ」の住所,氏名(漢字)が明らかとなり,本件被告の住所,氏名の表示に関する訴状の補正がなされることも予想できる。
 したがって,本件のように,被告の特定について困難な事情があり,原告である抗告人において,被告の特定につき可及的努力を行っていると認められる例外的な場合には,訴状の被告の住所及び氏名の表示が上記のとおりであるからといって,上記の調査嘱託等をすることなく,直ちに訴状を却下することは許されないというべきである。
4 よって,本件訴状却下命令を取り消すこととして,主文のとおり決定する。

 平成16年12月28日
 名古屋高等裁判所金沢支部第2部
  裁判長裁判官 安江 勤
      裁判官 渡邊和義
      裁判官 田中秀幸
謹賀新年
本年もどうぞ、よろしくお願いいたします。

なお、当方昨年3月に妻を亡くしておりますので、賀状の返信は控えさせていただきます。どうぞご容赦下さいませ。