配付された資料の中で、差し障りのないと思われる部分をご紹介します。
全国の地方裁判所に係属した通常訴訟の平均審理期間
現在は概ね8か月
上記のうち、争って判決までいったケースの審理期間
概ね13か月
医事関係訴訟の平均審理期間(全国)
概ね27か月
つまり、通常の3倍
医事関係訴訟の平均審理期間(富山地裁で平成16年以降終結した事件)
概ね35か月
医療過誤を追及する訴訟は、これだけの長大な時間がかかるということです。
また、富山地裁では、平成16年以降終結した事件は8件あり、一部認容判決が2件、和解成立が4件、請求棄却が2件とのことです。
多額の費用をかけて困難な訴訟を何年も争ったあげく、請求棄却(全面敗訴)となれば、患者側としては文字どおり「骨折り損のくたびれもうけ」ですから、訴訟提起前の慎重かつ緻密な検討が必要となります。
それだけ、訴訟提起前の準備期間が長くなるわけですから、最初に相談を受けてから解決までには、普通の感覚では「気の遠くなるほどの長い時間」が必要ということになります。
同研究会のメンバーである弁護士が10数人集まって、各自が担当した医療過誤事件の事例報告などを行いました。
薬の副作用による間質性肺炎への対処の遅れによる死亡、出血性脳梗塞への対処の遅れによる右半身の障害、バリウムが排泄されずに起きた大腸穿孔への対処の遅れによる死亡、などの事例(と事件処理、解決内容)が報告され、大変勉強になりました。
このような例会を定例化すること、事例を集積することなどを通じて、富山医療問題研究会の活動がより充実することを期待し、私もなるべく協力していきたいと思っています。
それにしても、医療過誤を勉強すればするほど、自分が患者となって治療を受けることが恐ろしくなります。正直。
ちなみに、亡くなった妻は、長い闘病の過程で、医師や看護師と家族的な関係になっていました。
高度な信頼関係ができて、一緒に闘っているという実感があったので、最後までセカンド・オピニオンは求めませんでした。
臍帯血移植の治療毒性が原因で、最後はあっけなく逝きましたが、おそらく彼女の中で、治療方針をめぐる後悔は一切なかったと思います(そう私には思えます)。
そういう意味では、彼女は患者として幸せだったと思っています。
医療過誤が医療過誤として問題になる契機には、まず、医療機関側の患者に対する不誠実な言動があるように思います。
自分の主治医がベストを尽くしてくれていると患者が信じられるのなら、例え治療の結果が思わしくなくても、主治医が悪い、責任を問いたい、とは思わないでしょう。
医療過誤や建築紛争などの専門性の高い事件について、専門委員という制度が設けられ、富山地裁が大学病院のドクターを専門委員に選任したため、これを契機に懇談会が開催されたものです。
医療過誤の訴訟では、法律家は裁判のプロだが医学の素人、医師は医療のプロだが裁判の素人ということで、互いに知識や意識のギャップが大きく、なかなかうまく協同できない実状があります。
このような話し合いの場を持つことは、互いのギャップを少しでも埋めていくために、非常に貴重な機会といえます。

